NPO法人サウンドウッズ sound wood(s)

2019年3月26日
[ お知らせ ]

【記念シンポジウム3/10リポート】設立10周年記念サウンドウッズフォーラム



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法人設立10周年記念サウンドウッズフォーラム2019 

第三弾シンポジウム
「森にかかわる10年 ~これまでとこれから~」

【日時】 2019年3月10日(日)13:00開場 13:00~17:00 
【場所】 エルおおさか709号室

【プログラム】   
第一部  基調講演 
講演:              川北英人氏(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所])

第二部 パネルディスカッション 「森を救う市民活動はどこに向かうのか」
パネラー:   井上有加(林業女子会@高知、井上建築)
        竹垣英信(森のライフスタイル研究所)
        山本博(NPO法人日本森林ボランティア協会)

コメンテーター:川北秀人(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所])
進行:     安田哲也(NPO法人サウンドウッズ)

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■ はじめに

安田:目の前のことを一生懸命にやっていると10年が過ぎた。
チラシに使う写真を選んでいて、実に多くの人に囲まれてこれまでやってきたことに気づいた。
10年は林業ではあっという間だが、いろんなことが起きるし物事が変わる。時間の流れが速い。
サウンドウッズの社会での立ち位置を示すまでは、やりやすい環境ができていると考えているが、そこから僕たちが何をするのか、まさに問われていると感じている。
今日、そういう議論があったなと、とスタートラインで考えるきっかけになれば幸いです。

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第一部 基調講演
「森に関わる活動の10年 ~これまでとこれから~」 川北 英人

■ はじめに
本日の講演は5時間半の内容ですが1時間に縮めてお話しします。
考える材料と道具を提供したい。なので、あの人に話そうという気持ちで聞いていただければと思う。

■ 市民生活の変化と市民活動について
本業は、阪神大震災前の1994年の25年前から始めている。
当時はボランティアが主力だったが、日本海側の自治会に呼ばれて講演がちらほらあった。
日本人の暮らしが変わると市民活動に求められる役割が変わるし、ボランティア活動も変わる。

昭和から平成にかけて生活が大きく2点が変わった。
まず1点目は、家族が小さくなったこと。
昭和(の終り頃)は平均世帯人数が4人だったが、平成(の終り頃)は一人暮らしの世帯が三分の一を占めるようになった。
今、人口1億2700万人、5300万世帯のうち、1800万世帯がおひとり様。軽自動車は売れるし、冷蔵庫の売れ行きは大小の二極化が進んでいる。
冷蔵庫の大型が売れるが、高齢者が大きな冷蔵庫を選ぶ理由はまとめ買いが増えてきたため。
暮らしが変わったのに、ボランティア・市民活動はどれほどキャッチアップできているのか?

次に2点目は、働き方が変わったこと。
昭和時代では第一次産業と第二次産業に従事する人口は50%だったが、平成時代では合計しても20%、つまり第三次産業が80%を占めている。
この中で最も割合が増加したのが介護分野。
きっかけは2000年に介護保険法が成立したためで、今では女性の5人に一人、男性の6人に一人は医療福祉関係の仕事をしている。
つまり、24時間365日休みがない業種で働く人が増加した。しかも必要とする人はこれから増加する一方である。
現在コンビニの24時間営業について問題になっていて、そのうち24時間営業する店舗は減少するだろうが、医療福祉はそうはいかない。

そして地域では、地方の人口増加が続く昭和時代には行事を増やした。
しかし、今、平日の夜に運動会の打合せを実施しても若い人が参加できない事態が発生している。
沖縄のとある市町村では、運動会は月曜朝に実施している。
それは、観光と福祉が主要産業となっているのだから住民の働き方が変わったことに応じて行事を変えている。
昭和25年より70年間人口減少が続く島根県雲南市では、人口減少が与件として受け止められていて、「居る者でやるしかない」とポジティブに受け止めて、もはや行事を減らして「福祉・防災・経済」を第一に掲げて活動を進めている。
「自治会活動に関心がない」「若い者がいない」と嘆き、自治会活動をする者としない者に意識の差があると受け止めている地域があるが、実は地域住民の意識に問題がある。
人口密度が上昇する時期は、行事を増やすことで交流を増やしていくことでよかったが、人口減少と高齢化のダブルパンチでは、支えあいが必要な生活必須活動へ自治会活動を定義し直す必要がある。


■ 社会の変化について
団体の経営について触れると、特定非営利活動法人数は5万団体あり、ほぼコンビニ数と同じで、小中学校と高校数の合計よりも多い。
ここ数年は減ってきていて、昨年は185件減少した。最も増えたのが2003年で、福祉の契約をとるのに法人格が必要と法律が制定されたためである。
すでに解散した法人数は16,700団体で、4件に1件の26.1%、年に1800件解散している。「認定」を受けると、寄付金に対する税金の半額近くが戻るという優遇を受けられ、寄付金を集めやすくなるが、この制度を利用している法人は2%つまり50団体につき1団体しかいない。

では社団法人や財団法人ではどうか。同じく税制の優遇がある認定を受けた公益社団法人・公益財団法人は7.3%(4167団体/56784団体)と41%(5389団体/13109団体)で13%にのぼり、NPO法人の認定取得率よりはるかに高い。

なぜ、認定を取得しないのか調査してみると、そもそも事業の中で寄付金を集めようとしていない。
煩雑な事務作業はしたくない、自分のしたいことはしたい、と考えている団体が非常に多いということだ。


■ 世界経済における我が国のポジション
GDP総額は世界第3位だが、国民一人当たりの生産性は2000年をピークに下がっていて現在20位以下。いかに生産性が低いかがわかる。
「世界で第2位」と言っていたころより、仕事のやり方や意識について変わっていない。
自治会の出欠がいまだにハガキで届くのが、その一例だ。
しかし、大阪市北区中津の自治会は新しい方法で若者の参画率を上げている。
必要な会議数を減らし、Lineアプリで出欠確認。若い人たちの暮らしに合わせて、自治会活動も効率を上げるように変えていく必要がある。


■ インフラの高齢化
高度成長期に整備されたインフラも高齢化を迎えている。
2012年笹子トンネル天井落下事故があり、国土交通省は全国のトンネルや橋を緊急点検した。
笹子トンネルは法定耐用年数50年に満たない43年で事故を起こした。
15m以上の橋は全国に248,000本。2013年の時点で耐用年数越えが2割だった。
2019年では4割、2029年では6割もの橋が耐用年数を超える結果となった。
対策は架け替えるか失くすか。生活の一部である橋を失くすことはあり得ない。

住宅・学校・公民館は、人口減少に合わせて失くしていってよいインフラだが、橋・水道・病院はハコものインフラとしては失くしていけないインフラである。
国土交通省が「小さな拠点」の構築を推奨していて、あらゆる機能を集約しましょうと言い始めているが、集約しすぎると集落が死んでしまう。
なので、地域でできることを増やすことを私は勧めている。
「小規模多機能自治」と呼んでいるが、集落が生き残る可能性をあげることが必要だ。


■ 高齢化は第二幕へ
高齢化社会という言葉は聞きなれているが、高齢化社会とは65歳以上の人口が全人口の7%を占めた社会であり、日本は1975年より高齢化社会に突入している。
よって40年聞き続けていることになる。しかし、これまでの高齢化とこれからの高齢化は様相が異なる。
ヘルパーが必要な要介護3以上は80歳代で急激に増えるが、これまで65歳から75歳までの前期高齢者が元気だったが10年後にはヘルパーが必要になるということだ。
町内会長も民生委員も森林ボランティアも全員元気高齢者。2035年には、その地域づくりの主体が全員後期高齢者になる。
85歳以上の人数と85歳未満の人口がほぼ同数になる。
しかも、定年延長で70歳まで仕事をするため、ますます地域に余裕がなくなる。
介護保険だけでなく、暮らしそのものを変えていかないといけない。
島根や山形が70年かけて経験することを、大阪や東京は20年で経験することになる。
大阪では千里ニュータウンや泉北ニュータウンが一足早く経験している。そのうち高槻や堺も経験する。
地域がシフトしないといけない。

ところで第一次産業と第二次産業が20年で4割減・3割減となった。
これは日本の稼ぎ頭が失われていることを示している。
何も知らなくても、仕事をしながら徐々に覚えていき、能率や効率を上げて時間単価を上げていくというビジネスモデルが消失した。
600万人以上流出していることになる。住宅より山間部に工場がありそこに通うというスタイルがあったが、今では工場はなく仕事は山間部にはない。
20代から40代の女性の就業率が2割向上し主婦が少なくなってきていて、お母さんが働いていないことを前提としたビジネスモデル、例えばPTAや生活共同体は、崩壊しつつある。
そのような状況下で、森づくりの在り方はどのように進化させていけばいいのか!?

空き家調査は国税調査とは異なる年に5年ごとに実施している。
1993年に9.8%、2015年に13.5%であるが、山梨では2割に、東京でも9%に達している。
仮に住宅1件建てるごとに1件壊すとして、総住宅数を増減なしにして世帯数を維持しても、空き家率は13.5%に上がっていく。
セキスイハウスでは2014年から長く住み続ける価値に着目し、リフォーム事業を展開している。
東北では高齢者のヒートショック問題があるため、温度と湿度に着目したリフォームが人気となっている。

2015年時点で、10人中2人(19.8%)は後期高齢者の一人暮らし。
回覧版は地域の安心を高めるために行っている。山間部と都市部ではどちらが一人暮らしが多いのか。
山間部は家族がケアをするため少なく、都市部の方が多くなっている。
先日、大阪市住之江区に伺ったが、32%、だいたい3人に一人は後期高齢者一人暮らし。
交通の便や買い物のしやすさで一人暮らしがしやすい環境が整っているのだが、もし通学者数が減少するとバスなどの公共交通機関が減少し、買い物難民になってしまう。
それを回避するためにも、自動車メーカーには自動運転のテストは国内で実施するよう呼び掛けている。

後期高齢者一人暮らしの女性と男性の割合は3:1だが、孤独死の割合は1:3である。
つまり男性の孤独死の確率は10倍近くになる。その事象に気づいたのが阪神大震災でボランティア活動をされていた中村順子さんや黒田裕子さん。
避難所から仮設住宅に移ったとたん、2か月で孤独死が発生した。
仮設住宅でプライバシーは守られるが、コミュニケーションが制限され生活の様子が外からわからないことが大きな原因だった。
そこで「地域には平時から居場所と出番が必要」であることが分かり、地域社会福祉協議会が地域で文化サロンを開設するようになった。
歌ったり踊ったりする活動メニューに男性は抵抗があり参加しづらく、利用者は女性ばかりになっている。
一人暮らしの男性を引っ張り出す活動として「男の料理教室」がある。
しかし、料理教室のメニューがみそ汁やお酒のつまみでは益々おひとり様を促進することになるので、パエリアやスポンジケーキを焼くクリスマスケーキなど、一人では食べきれず数人と食事を楽しむ、または自分から振る舞いたくなるメニューを東京世田谷区で開催している。
一方で、大阪市北区中津では「カフェコンパーレ」という、文化サロンに通いたくない高齢者を対象としたカフェが運営されている。
おいしいコーヒーで自分の好きなことで自由に時間を過ごし、たまには午前中に子供のお稽古事の発表会を開催している。
高齢者の「居場所」を作り、常連客の主体的な協力で運営されており、カフェは大変流行っている。
これから、ボランティアを探し集めて育てるのに、これまでとは違うアプローチが必要なのではないか。

ボランティアの構成は変わりつつある。元気な高齢者でも、後期高齢者になれば、車の免許を返上する方も増える。
75歳以上免許保有者は、男性では56%だが女性では11%にまで下がる。女性が持たない理由は、友達に送迎など運転を頼めるからである。
少ない労力で運営する効率化が求められるし、福祉側の体制も変えていかないといけない。


■ 民間移譲
教育について文科省は、学力だけでなく生きる力をつける事をめざし、社会に開かれた教育課程を設けることを推進している。
つまり地域の課題解決力が求められている。ポジティブにとらえると、大学を卒業してから地域の課題に取り組むのではなく、小中学校時代から地域の課題について触れて考えることになり、課題解決に参加できるという面がある、しかしネガティブにとらえると、大人の小間使いになるのではないか、つまり大人が地域活動を残したいから子供を担い手に育てることに学校を利用することになるのでは、という懸念がある。文科省はすべての市町村の教育委員会の判断で地域住民と話し合って実施を決定するよう通達している。
地域が課題解決のために、子供たちが育つ課題解決ができるのであれば、このような官民協働もよいのではないか。

地域の自治体が行政の役割を一部担うケースもある。ある市町村では、水道検針業務を地域自治会に委託している。
検針業務だけでなく、住民の顔色などのチェックをして安否確認を兼ねたり、雑用訪問がてらに看護師の訪問なども兼ねるなど、細やかな住民サービスの提供を、日当を発生させながら実現している。
地域も、女性の就業や定年延長が進むと、(マンパワーとしての)ゆとりがなくなっていく。


■ 木に携わる人を増やす
文科省より学校教育での農業体験・林業体験枠が拡大した。林業への就労人口も大幅に減っていることより、木材ファンを生まないと就業人口が増えないことは提言している。
森林体験活動の必要性について、林業従事者を減らさないためにも新規就労者を1.2万人必要であり、自動車・電機の企業並みでありかなり難しい数字ではある。そのためにも小中学生の段階で森のすごさを経験する「原体験」を与える必要があり、100万人以上森へ誘導しないといけない。


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第二部 パネルディスカッション
「森を救う市民活動はどこに向かうのか」

安田:サウンドウッズのミッションとして、まちの志を森林所有者につなぎ森林所有者の持続的森林経営の後押しをすることで次世代に健全な森を引き継ぐことを上げている。これをブラッシュアップできればと思っている。それでは、まずパネラーの方に自己紹介をお願いする。

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井上:2010年京都で林業女子会を立ち上げた。10年たった今では全国24か所でそれぞれ会が結成されている。
活動は何してもよく、マイペースで緩くやっている。川上から川下さらに学生と敷居が低く、様々な方が参加されている。
移籍可能で、メンバーのライフスタイルに応じた活動がそれぞれ展開されている。

竹垣: 2005年よりNPO法人森のライフスタイル研究所を運営している。
活動地は長野県だったが、長距離バスの事故を受けて、最近では長野ではなく東京や千葉を中心に活動している。
木材利用の一端でバイオマス利用普及啓発に取り組んでいたが、ペレットストーブの販売競争相手が企業だったので営利活動から退いた。
人が集まる森にすれば森も変わるのではないかとファッション雑誌「装苑」と組んでファッションに着目したり、農ギャルや森ガールに対抗して「森ギャル」を提案してきた。
森への無関心を減らしたいと考えて、活動してきた。
たまたまメディアの目に留まり、東京から森に関心がある人たちをバスに乗せて田舎へ赴き植林するイベントを実施したら、次回開催の呼びかけに対してはバスを大型4台借りるほどの多数の応募があった。
そこで森への関心はあるけど、ぶつけ方がわからない人が多いのではないかと思い、森に関する情報を町においておけば気が付いて反応があることが分かった。

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山本: 日本森林ボランティア協会とあるが、活動は関西で、おととし20周年を迎えた。設立当初より森林大学という後継者育成を目的とした講座を開設していたが、当初は大変評判が悪く活動地を探すのに苦労した。
今では、問題はない。しかし、本日の基調講演を聞いていて、先日活動を行ったメンバーの8割近くが70歳以上だった。
高齢化してきている。

能口: 有限会社ウッズの代表をしている。
フォーラムのチラシの一番左上の写真は、立木販売システムの一環で伐採見学ツアーの写真で、施主と伐採した木を囲んだものである。
(山の棚卸をすれば)現在も私は同じ位置にいる。
山主が二十歳の時に植えて枝打ちをしながら育てた木がどうなったか「山の棚卸し」して確認しているところの写真である。
有限会社ウッズは、林業・製材・木材販売・設計まで建築以外の工程をすべて6人で動かしている。
地域の森林を経営計画や利用方針をたて、どのように活用すれば山元に還元できるか常に考えている。
現在逆向きのニーズが高まっていて、自分たちで製材したものを全国へ販売するのとは違って、自分たちで製材したものを自分たちで売っていく手法を地元の方に教えている。
地元の自治会の林業経験がなかった人に山に入っていただく仕組みづくりをしたい。
技術指導を交えながら、担い手を育てる事業にも取り組んでいる会社である。

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■ 森と所有者をつなぐ

安田: みなさん、自己紹介ありがとうございます。
「森を救う市民活動はどこに向かうのか」と題しているが、第2回で聞き手の中島彩さんに「森と町をつなぐ活動もあるが、森と所有者をつなぎたい」とあった。
実際の森林での活動について現状をお聞かせいただきたい。

山本: 最初は森林ボランティアに何ができるのかと高をくくられていたが、今はそうでもない。森林施業については、森林所有者がどのような森づくりを考えているか、考えに応じて行ってきたが、近ごろでは、森林に全然興味がない方が圧倒的に増えてきた。
「好きにやってくれ」と言われる。
嬉しいやらさみしいやら。

安田:以前は植林をする理由があったが、動機が立ち消えてしまった場合はどうすればいいのでしょうか?

能口:地域材フェアトレーディングを愛知県木の駅プロジェクトで取り組んでいる。
軽トラックに材を積んでストックヤードに運ぶと燃料用になる。
地域通貨などに変えて、地元の最小限の林業を展開。しかし、製材所の立場からすると寄せられる木は3-5倍近くする値打ち材だった。
地域資源として活用ができてないことを目の当たりにした。
販路がそこしかないから出荷しており、山主があきらめているのか、情報が手元にないから判断ができないのか、地域に眠っている材を自分たちで評価して製品化していく仕組みを構築し、資源量を確認して自分たちで売ることを実験でやっている。
山主があきらめて地域でこれをやると非常に驚かれる。そこから変化が生まれないかと思う。
森林を持っていて、製品はどのようなものか、誰に託せばいいのか全然わからない状況が広がっている。

安田:森林所有者側の利益になる情報提供ができていないのではないか。

能口:自ら判断できるツールを広めていこうとしている。

安田:森に関わるのはいいのだけど、じゃそれをどうするのか。
所有者にコミットするのはとても大事だと思う。
川北さん、人口減少の中で自治会や共同体が担っていくケースで林業に近いケースはあるか。

川北:地域に必要な事業をどう続けていくか。
ただ長寿の国ではなく、健康長寿であるためには次の構成要素が必要である。
①好きなこと、②得意なこと、③世間が必要とすること、④稼げること。
高齢者が年金しか所得がないのか年金以外に現金所得があるのか、が大切になる。
高齢者の買い物支援には3つある。
①送迎、②移動販売 僕は両方とも賛成ではない。年金を吸い上げているだけだ。
③地産地消 これは有効だ。島根県雲南市のある地区には200世帯しかないが、山間部には自分で作ったもので十分売り買いができる。
さらにお茶のみの場を加えると十分になる。なぜ重要かといえば、買い物ができない=誰かと一緒じゃないと買い物に行けない、ということだから。
地域に拠点があるだけで、年金を使う生活だけでなく自分たちが年金収入以外を稼ぐ場となる。
木の駅と地域通貨。地域循環を促すには良い仕組みだ。しかし頑張りすぎると税務署やってくる。
今のところは地域通貨には気づかないふりをしてくれているが。地域通貨のよいところは、夫が入手した場合たいてい奥さんに渡す。
地域でしっかり通貨が回る仕組みになっている。
木の駅は、それ以外のできることの拠点になれば、高齢者向けだが、例えば軽トラの朝市に変わったら地元にお金が落ちる。
木の駅本来の目的だけでなくて、他の目的も含んだ機能をもつことは大事。
若い世代には、山間部に製造業がなくなってきたと考えると何と組み合わせていくか。
(別の市町村の)山間部で製材所の息子で犬小屋製作販売を営んでいる方がいる。
これはICTのおかげで東京をマーケットにしている木工会社で、お客様から家の図面と内装写真や犬の写真を送ってもらって、イメージに合った犬小屋を3Dで作成してお客様に提案している。
このビジネスモデルだと、東京で事務所を構える必要がない。
山間部での木材を活かした起業の仕方を一から教えてくれている。
東京に一時的に修行に行くのは仕方ないが、いきなりUターンして地元で仕事をしろというのではなく、地域に戻って木を仕事にする可能性をどう地域に教えるかまでさかのぼらないといけないと考える。

安田:林業の話にモチベーションをどう作っていくかが気になっている。「いいことだ」とわかっているが、本気でやるのか。森林所有者さんへつなげていくことが大事だと思っている。

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■誰がまちのニーズを森に伝えるのか

安田:林業女子会や森のライフスタイル研究所が助成金を取得しているのを見てきて、サウンドウッズも助成金を取得しようとお二方をこの10年ずっと追いかけてきた。
いろいろなチャネルを作ることについてはエキスパートだと思うが、ご苦労はあったか。

井上:苦労は言わないことにしている。私の出発点は竹垣さんと同じく森ガールへの対抗心。
よく林業界への女性参画運動だと思われがちだが、全然違っている。
私も1つのライフスタイルとして都市部の女の子が林業してもいいのではないか、と考えていて、森林に興味を持ってもらうためにフリーペーパーを作ったり女性限定の林業体験を提供したり。
「森林ボランティアは男性が多いけど女性だけだから入りやすかった」という意見をもらうと嬉しくなる。
活動を続けていて最近は「実は森林所有者で実家に山があるけどどうしていいかわからない」という主婦の方などが、林業への入り口として林業女子会に入ってくる。メンバーの中には林業のプロもいるので、相談のきっかけになったのでは、と思うところである。

安田: すごく画期的で女性の森林への入口にフォーカスしたということですね。
竹垣さんはどうでしょう?
最近企業の会議室でやっているとか?

竹垣: 森を整備しても現金収入は得られないので、個人の寄付もいいかもしれないが恥ずかしくて言えない。
自然と企業からどうやって賛同を得てお金を集めるか、考えるようになり、CSR活動や社会貢献になるプログラムを制作することになった。
会社がバスを用意して離れた森に行くことになると予算範囲でしか、限られた人しか行けない。そこで平日に森とつながることができ、国産材を使うと森を守ることにつながるので、企業の会議室で昼休みに従業員に木のモノに、やすり掛けのひと手間をかけてもらうプログラムを作って企業に購入していただき、プログラムの中でプレゼンをして日本の森に関心をもってもらうことにした。
関心を持ってくれた従業員は、フィールドに参加してくれたり、従業員の助言で企業から寄付につなげることができる。
また、森林所有者側も町の人が来てくれて森がきれいになることを歓迎してくれてやる気を出してくれる。

安田: ひと手間がかかった木の積み木をどうするのですか。

竹垣: 会社のロゴを積み木に入れて、保育園などに寄付する。木のおもちゃは割と高額なので喜ばれる。

安田: 企業のCSR活動の一環で積み木を作成するが、企業のロゴが入っているので広報になり、保育園も喜ぶ。三方よしの企画だ。
企業もCSRに関わっていかないといけない。そこはボランティアが繋いでいかないと、と思うのだが、なかなかチャネルがない。

川北:ボランティア現地参加となると10人ぐらいにとどまるが、企業の従業員ともなると1000人規模になる。1000人中10人でいいのか疑問になる。
「会議室でお昼休みに」は「企業で・ボランティアで・ライトなもので」に該当する。
例えば、古本を従業員より集めて中古買取販売店で現金化してNPOに寄付するとなると、誰でも参加しやすい。こういう取り組みに関心が高まっている。
また、SDGsにどう関与しているか、ということも要求されている。
社会貢献の担当者を置く会社と置かない会社を比べると、置かない会社の方が多い。
マイクロソフトもついこの間までなかった。それは従業員目線で続けられる活動をやっていきたいからだ。
じゃ、その費用をどうするのか、最近では会社が用意するだけでなく、従業員から費用を募ったり、進んだ会社では給与から天引きになっている。
会社からすると、より多くの社会貢献をしたい、森に入る人も大事だが、森に行かなくても森につながってくれればさらに良し、と考える。野鳥の会では、四面真っ白の会議室に6台のプロジェクタを使って360度カメラで撮影した森を再現。
SNSで見ただけで森に行ってみようという気にさせるのなら、会議室では現場をどのように見せていけるか、(知恵の見せ所)ではないだろうか。
森ガールは、どうせ飽きるのではないか。そこで2タイプに分かれる。本気で森林活動にコミットする人と、次はライトなアクティビティとしてジョギングを選ぶ人に。自分たちだけでリクルーティングができるかというと、チャネルもないしそこに掛ける人材もない。
そういう活動をやっているところに、ウチにも来ない?
と誘ってしまって組んでみてはどうだろうか?

安田: 総ざらいしてもらいました。


■行政ができないことを市民活動が担う
安田:地域の木を使って建築するとなると、縦割りの行政に対して横串の役割が必要であり、そのような仕事を探してきた。

川北:NPOは「営利ではない」、NGOは「政府ではない」、そんな否定的な言葉ではなく前向きな言葉はないのかとずっと言われてきたが、市民社会組織では定着しておらず、ない。
NPO的な活動も2パターンあり、「ちゃんと成果が出るまで続けていきましょう」と「自分が辛くなったらやめたい」の本気度の違いがある。積極的定義は難しいが、企業の方にも行政にもこの水準までやる覚悟があることをどう見せるか。その覚悟を見せずして、セクターとしてどっちかというのは良くない。
せっかく専門性を持っている方がいるので、株式会社でやる部分やNPOでやる部分をポジティブに分けるかだと思う。
民家再生リサイクル協会は、途中で学者と古民家好きな人と専門家で協会の理事になれない流通に分けた。
そうすることで特定の業界の利益になっているわけではないことを示した。

安田:NPO活動をする必要はないが、NPOにするには何かこだわりでもあるのか?

竹垣: 2年間任意団体だったが、企業に会ってもらえなかった。
社会の一員として信頼を得るために法人化した。

山本: 法人格を取得して入れば森林を相続できると言われて、2000年に取得した。実際は相続に至ってはいない。
その後、行政の話で対象団体として四番目ぐらいにNPOがあがることがあり、手続きは煩雑だが法人格を取得していてよかったと思う。

安田:NPOとして竹垣さんと同じく私も家族を養っている。NPOだから稼がないのではなく稼ぐNPOとして、ちゃんと持続的活動をどう仕立てていくか、非常に関心がある。実は10年目にあたるときに株式会社でもいいのではないかという議論があった。
非営利目的の活動をやりつつ、事業を持続的に行うための収益も生んでいく、そういう形であと10年はNPOで運営していこうということになった。

竹垣:NPOなので保育園などにはNPO活動の一環で入っていける。
たぶん企業では保育園側にシャットアウトされるのではないだろうか。
NPOは株式会社の活動ができるが、株式会社はNPOにはなれない。
NPOの方が良い面が多いのかもしれない。

安田:サウンドウッズが昨年、一級建築士事務所登録をおこなった。
NPOとしては画期的なことだと考えている。木の建築を設計するための事務所である。
設計業務は収益性をめざすものだが、木造分野で戦略的にポジショニングをしていく予定である。

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■会場からの質問

京都の方: 町に住んでいるが町から遠い出身地に山林を持っている。
能口さんの話に勇気をもらった。私どもは立木を手渡すのは木材業者で、ひと山単位いくらで渡してきた。年輪ぐらいは伐採のときに見るが、一本一本どのような価値があるか見ていない。
果たして、この木で家が建てられるのか自信がない。家を建てるなら、木材市場に行って買ってくる。市場には品質がある程度そろっているからだ。
しかし、今日は、丸太一本それぞれの価値を山主がわかっているのかと問い質された感じがした。
山に入る楽しみは娚杉(めおとすぎ)があるなど調査目的だ。癒しの空間づくりを目指している。
昔は弦切りなどをもって山に入ったが、木がお金にならないことがわかったのでやめた。
しかし、(山の資産性について)知らなかったことがよく分かった。
町から遠ければバスで連れてくる発想もなかった。
そういう無知な山主にはどんな勉強があるのか?

能口: 運営しているワークショップでは輪切り年輪の上にプラバンを置いて、いくらで売れる製材品が何枚とれるのか製材の木取りを考えてもらっている。
大事なのは、山主に何パーセント還元できるのか計算すること。
今の流通は価値を評価する機能が働いていないので商品化に対し5%ぐらいしか還元できていないが、30%ぐらい還元できていいと考える。
そのための流通を考え、製品づくりを考えようとしている。野菜の六次産業化はしやすいが、林業では難しくて誰も取り組んでいない。でも、できるようにまずは流通の知識、そして立木の品質を調べ山の資産価値を知るところから始めようとしている。
「森の健康診断」のようなマニュアルを作ってみなさんで調査できる仕組みを広げようとしている。
「山の棚卸し」をキーワードに検索したら、僕たちの活動が分かる。

京都の方: 地域でやるものなのか?一匹狼なのだが。

能口: 山のことを話せる山主グループを作らないと。誰のところからどれぐらい出すか、そこをまず目指す。


篠山の方: 丹波篠山で林業をやっているがバイオマスのNPOに所属している。
林業では収入が上がらないから、副業をしている。どうやったら山の仕事で稼げるか?

能口: 山主への還元率を上げるために山主に何ができるのか、今まで売る努力はあまりされてこなかったが、そのための調査から始まる。
戦略を立てて、例えば地元の工務店と話して山の木を見てもらうこと、丹波篠山でもそういう動きがあると聞いている。
山主として、こういう使われ方をしたいと言っていただければ、その受け手は地元に必ずいるはずだ。

山本: 農業と林業の違いは、林業の場合は放っておいても木が育つだけ。
お孫さんの代にはお金持ちになるのでは。

竹垣: 木を伐採して植えると大きくなるまで時間がかかる。
今の世の中はトイレットペーパーの芯でさえも工作の材料として10円で売れる時代なので、森の中のステキな葉っぱ一枚や倒木に生えた苔など、世の中には変なことに興味ある人がいろいろいるので、情報発信していけば、世の中の流行が分かる。
そこをターゲットに森の中の価値あるものを販売していってはどうか。

井上:葉っぱビジネスが良いと思う。
先日、クリスマスリースを作るのに所有林に一日入ってリースを作った。
一日山で遊べば出費も抑えられるし、集めたものを販売できる。
山での楽しみ方を知っていくことも大事だと思う。

山本:先日、若手の和菓子職人が栗のお菓子を作るために大阪府能勢町にあるヒノキを皆伐した。
そのヒノキをSNSにアップしたら、いろんな方が反応して販売に至っていた。
林業家が皆伐をSNSでアップしても反応がないが、若い和菓子職人の場合、林業家にないネットワークで伝達していくので新しい反応があったのではと思う。
そういう発想も大事だと思う。

安田:いろんなところにチャンスがある。異業種の視点で篠山周辺のネットワークを組んでいけばと思います。


■ まとめ

安田: 最後に今後10年を見越して一言お願いしたい。

能口: 会社のスタッフには55歳で退職するぞと話しているのだが、現在、林業から販売までの体制ができていて専門性を持った人がそろっている。
すごい勢いで小さな製材所がつぶれていく中で、地域の仕事としての小さな製材所の役割を担うことを目指しているところがほとんどない。
製材所がなければ地元の山の価値は高くならない。
量産型の燃料向けの林業では、高価値にならない。
集落の構成員の役割の一つとして、地域が持って資源を100km圏内で活かせる仕組みを作っていくことが大事。
後世これを面白い仕事だと思う若い人がいれば、地域に会社は残る。企業というよりは地域の仕事としての感覚だ。
これから10年、エリアを限定してどう暮らすか、地域を活かしていける会社になっていけばいい。

安田: それは、まさしく、「有限会社ウッズ」のフランチャイズ化事業でしょうか・・・

山本:木の駅ではないが、林地残材を森林組合が買い取る説明会を大阪府能勢町で開催したが、結構よい材が集まったが、チェーンソーで木を出すことができなかった。
森林大学の内容を住民の方に林業入門編として講座を開講する。
そして林業を始めるきっかけにしていただきたい。

竹垣:これからも10年続ける。続ければ何かが見えてきて、何かは変わる。 

井上:10年以内に終わりたい。女性林研、ネットワーク21、そして三つ目の団体になるが、林業女子会も終わりを迎え、そして次には新しい芽が出てくるものだと思う。

川北: 森林は所有者の問題だったが、共有材として使っていかないといけない。
専門性を持った人が開いた存在でいるのか、森が好きな人が集まっているだけとみせるのか、見せ方の問題だと考える。
森林ボランティアの方がいいのか森林活動のサポーターの方がいいのか。 
地域の森に関連する困りごとをサポート・カウンセリングできますよ、と専門性をもってコミュニケーションができる立ち位置が求められる。
介護は介護職だけではできない。森林活動を週末だけの特別体験とするのではなく、日常的に生活の中に持ち込むのと同時に、森林の困りごとを相談する先としてワンストップの役割をコーディネーターが担えばいいのではないか。
サウンドウッズの木材コーディネーターは木材と流通に着目しているが、専門性を持ちつつ森とともに暮らすことそのものをコーディネートする、とカバーする域を広げておかないと木材の困りごとじゃないと相談できないようになってしまう。
それは非常にもったいない。
だからと言って木材の流通でしか収益を上げられないので、有償の仕事と無償の仕事に仕分けして明確に打ち出すことが必要。
森でご苦労されている方にとってのワンストップの相談窓口という存在ができるといいかもしれない。
同時に、既存で活動されている方とこのような重なり合いがあるか見せていただければと思う。
独立した職種として見せるのではなく、いろんな職種の人を助ける存在と見せられれば、と外から期待している。 

安田:川北さん、ありがとうございます。
先のことが見えにくい世の中だからといって目標を持たないわけにはいかない。
目標をもって取り組むことで、取り組みの結果のずれやステップアップを図ることが可能になる。
10年かかって立ち位置を自覚するところまできたが、目指すべき到達点の設定が次の課題になるんだろうな、と思った。 
焦ることはないと思うが、できるだけ早くサウンドウッズは目標設定していきたい。
パネラーの方にもぜひ、ここを一つのスタートラインとして、将来振り返っていただければ、私も嬉しく思う。

本日はありがとうございました。 




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