NPO法人サウンドウッズ sound wood(s)


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2019年2月13日
[ お知らせ ]

【東京プレ講座1/25リポート】設立10周年記念サウンドウッズフォーラム

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法人設立10周年記念サウンドウッズフォーラム2019 

第一弾東京プレ講座
「森と木材製造流通の10年」

【日時】 2019年1月25日(金) 17:00開場 17:30~20:30
【場所】 GEOC地球パートナーシッププラザ セミナースペース
           (国連大学ビル1階:東京都渋谷区神宮前)

【プログラム】   
第一部  基調講演 
講演:    赤堀楠雄氏(林材ライター)

第二部  トークセッション
パネラー:  赤堀楠雄氏(林材ライター)
聞き手:     井上淳治氏(NPO法人西川・森の市場、きまま工房「木楽里」)
進行:        安田哲也(NPO法人サウンドウッズ)

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■ はじめに
安田氏:第3回の記念フォーラムの日は、サウンドウッズが法人化してちょうど10年。
これまでの活動を振り返り、そしてこれからの目標設定をめざして、合計三回の講座を運営します。
今日がその第一弾。


第一部 基調講演
 「森林国から林業国へ」  赤堀 楠雄

■ はじめに
1988年から取材活動を始め、最初は林業雑誌の記者であったがフリーランスになり、昨年がちょうど30年の節目だった。世の中ではAIやICTが進んできているが、林業はもっと幅広く人と自然が営むものではと考える。キーワードを準備しているので順に話していく。

■ 林業を経営(森林を管理)しているのは誰か
今ある森林(人工林)は、林家がいろんな事情を引き継いで形成されてきた。今は森林資源を利用するために所有しているように、経営者として言われているが、先代が植えて育てたからであり、利用の時代に入っている。過去にコストをかけて植えたものを売ればお金に代わるのは当たり前である。今考えなければならないのは、次の世代に引き継ぐためには、次の森づくりのために、誰かが苗を植えないといけない。

来年度から新しい森林管理システムが政策として始まるが、その政策では森林経営者=伐採業者と位置付けている。伐採は、林業経営における一つの仕事にすぎないのであるけれど、あたかも主人公のように位置付けられている点に違和感を覚える。つまり、「丸太販売価格のうち、伐採や搬出費用の経費を差し引いた額が森林所有者の林業収益」、とこれまで考えてきたが、「伐採業者が上げる収益を林業収益」と考えよいと、とらえられてしまう。所有と経営を分離してしまっている。

林業は、木材を利用するだけではない。育てたから伐採できるのだ。向こう10年、誰が森林を経営するのか、考えていかないといけない。


■ 木材を生産しているのは誰か。木材を商っているのは誰か
約20年前は、森林生産は民間事業体が伐採し、森林組合が造林してきたが、造林に対する助成金が縮小されるのを受け、森林組合が間伐から素材生産にシフトしてきた。

日本最大級の伊万里市場では競りによる販売は7%、残りはハウスメーカーと連携して直売りをしている。伊万里市場では、誰が買ってくれるか仕分けして杯積みを行う。供給先がわかっているから、逆算して利益の中でできる仕事を組み立て、管理費の削減などに取り組むことができている。また、リスクを背負って市売りの手数料を下げて、伊万里市場での流通量を増やし、メーカーの取扱量を増やす取り組みに転換した。

林野庁はサプライチェーンマネジメント(SCM)を作るよう打ち出しているが、10年後には原木を用材向けと発電用チップと分けるようになるかもしれない。

国産材ツーバイフォー部材は、これまで10年一般化されなかった。必要な木材の長さが2.4mなのでロスが増えることが原因の一つ。

吉野の黒滝村にある徳田銘木では、木は必ず売れる、どんな木でも売れることを念頭にあるため在庫が積みあがっている。初期の在庫の原価はわからなくなっていて、代替わりすると、誰が売るかはわからない。

木をかっこよく使いたい、をモットーに大阪羽曳野田中製材所では例えば、ナラ枯れの木を越井木材でのサーモウッド加工(高熱処理)を施し、変わった素材として商品化している。


■ 林業・低コスト造林
仕様規定から脱し性能規定へシフトするべきだ。例えば間伐率30%を一律に推奨しているが、山は均一ではないのでベストではない。山に応じた手入れを進めて「良い山を作っていく」というのが性能規定である。どのように良い山を作るか、林業も差別化が必要である。

■ デジタルアプリケーション
ネットで注文を受けて画像を木に加工など、新しい分野。AIにより木の割れを予測するなど、これまでにない技術により木工が可能である。

山形では製材所でかんなくずを使った造花が人気である。製材所で女性の雇用など、これまでにない展開がみられる。


■ 木造建築を建てているのは誰か?
プレカット工場が、刻んだ後の工場内である程度組み上げて、最終的に現場で組み上げる。建築業界に業務を拡大している。

在来工法を大型パネルで合理化を進めている。断熱材もサッシも工場で組み立て、現場で組み上げる。その合理化が進めば、職人不足の解消になる。

ツーバイフォー向けの工場では、2.4mの採材した残りの材は集成材としてつなぎ合わせて新たに2.4m材を採れるように対策をしている。つなぎ合わせることで、木材のロスをなくすことに対応している。

■ マスプロダクション → マスカスタマイゼーション
BIM(Building Information Modeling)というコンピューター上で3Dを使う手法がある。それを使えば、正確に組み上げられるので現場合わせが不要になり手戻りがなくなり工期の短縮につながったり、シミュレーションを行うことで維持管理コストの試算が容易になる。

この技術を使い、サグラダファミリアでは工期を150年縮めることに成功している。木材の世界にも、影響があるのでは。


■ 変わらないこと-変わってはいけないこと
木の性質は、日本古来より認識されていて適材適所で利用するべきと伝えられてきた。

木の文化も、大径木の倒し方など安全に行うために儀式に織り交ぜることで伝承してきた。

木の個性も、木を割いて籠にする高度な加工技術をもって活かしてきた。

人は自然と関わっていくことはこれからも変わってはいけないことであり、自然と真剣に向き合えば自然の大きさがわかり、自分が何をしないといけないかわかるはずである。

人や自然に相対し傾聴しながら次の10年を歩んでいきたいと思う

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■ 聞き手(井上氏)より質問

Q. 森林所有者の手元に残るのは、販売代金より経費を差し引いた残りと説明があったが、提案型林業として、(他の産業のように)費用を積み上げて利益を乗せた価格で販売するべきだと思うが。

A. 経営主体が交代してきているため原価があいまいになってきている(のでそのような計算が主流になっていると思われる)。井上氏の場合は、育林中に発生する間伐材も売れて経費と相殺できたりするので値段の積み上げができる。提案型の価格設定ができるのでは。経費は簿価がわかっていないと計上できない。


Q. 木育について。どうすれば定着するか(?)

A. 第二部で話しましょう

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第二部 トークセッション
 「木材需要喚起は日本の森を育てているか」

安田氏:ここからはキーワードを準備しているのでそれについてお話いただきます。

■ オリンピック需要とポスト2020
赤堀氏:今はバブルだと思います。オリンピック需要と復興資材需要があります。2020年以降については需要が落ち込み相当きついと林業関係者は話しています。「仕事がないから週休三日になるな」と。
井上氏:木はなくならないし、今も山で育っている。オリンピック需要は感じていません。ここんところずっと、今現在も変わらず厳しい状況だから・・・オリンピックは本当にあるのかな?という感じです。

■ 製材・集成材・CLT
井上氏: 小さい製材所はなくなっていくでしょう。

赤堀氏: 製材所は本当に大事。集成材は製材(ラミナ)を貼り付けて出来上がることを忘れずに。
先日有限会社ウッズの製材ワークショップのお手伝いに行きました。どの向きから挽くか、原木を見極め、時間をかけて実習しました。木を知るためには、製材技術を持たないと木を見る目は養えない。

井上氏: 九州の大規模製材工場を例に、単品種の量産工場が地方に拡大しているが、それが山を活かすことになるのか

赤堀氏: 九州だと中国木材かな。歩留50%で、残りは発電に回す。

安田氏: 川上と川下が互いに事情がよくわからずに使っている場合がある。いろいろ手法があると思うがタッグを組んでチャンネルを作ることで、状況が改善するのでは。

赤堀氏: 製材と集成材を比較すると、原木の価値を高めて、歩留まりを上げることができるのは製材です。集成材は、長さ方向にも欠点を外してフィンガジョイントすることで、いいところだけを集めて製品化します。結果、原木から製品になる率(製材歩留)が低くなる。B材やC材などの低価格の原材料の活用が前提でなければ、採算が合わない。

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■ 住宅・非住宅
赤堀氏: オフィスについてはリノベーションの需要があると聞いている。働き方改革などで在宅勤務が増えると出社してもらうためにオフィスを快適にしたいとニーズが上がっている。
6月に建築基準法が改正されて内装制限が緩和。耐火建築や燃え代設計の考え方が改正された。防耐火に詳しい安井昇さんの講演会で、「節抜けがない無節の材が防耐火用材としてニーズがあります」と話されていたので、節のない優良材の売り先として防耐火性能を有する防耐火建材が拡大するのでは!と期待しました!(安井先生からはそれ以上、優良材に関する言及はありませんでしたが・・・)  板にすると節がない材が求められるマーケットは、枝打ちされた立木の出番。このことは川上に伝えておかないと。

井上氏: これからの防耐火性能を備えた内装材需要で、優良材市場はバラ色ですね。ちなみに。うちの森はすべて枝打ちしてありますから!儲かりますね!!


■ 木育・ユーザー教育
井上氏:最初に木育に関わりました。ある日、30代の夫婦が木製テーブルの脚を短くしてほしいと木工房に持ち込まれたのですが、なんとその脚は、木ではなく段ボールに木のプリントが貼ってあったパーツだったんですね。この件以来、木育の必要性を強く感じています。木育を定着させるにはどうすればいいでしょうか。

赤堀氏:マッチとナイフを持たせることですね。木がどういうものか教科書には「可燃物」とあるがそんなに簡単に燃えない。木について直接経験を重ねて身に着けてもらうのが一番です。学ぶ場所、知る機会を作ってあげないといけません。これは愛情だと思う。

安田氏: 学校や保育園や幼稚園など・・・ですか?

赤堀氏: 最近クレーム社会になってきていますよね。

安田氏: 木造の学校に赴任してきた教頭先生が、おっしゃっていました。「木でできた学校に通うこどもたちが、身の回りの木でできた壁や床が、傷ついたり、へこんだり、汚れたりすることを知っているんですよ」と話してくれました。誰が教えたわけではないのに、身の回りの環境から、物との接し方を学んでいる、と。それを聞いて、木で建築が子どもたちの成長に影響を及ぼすことを実感しました。メンテナンスフリーを目指したビニールクロスやプラスチックタイルの建材は、蹴っ飛ばしたり、汚れても気にもかけない子供たちが増えていると聞きます。

井上氏: 私も似たような経験があります。雑誌の記事で木造校舎の校長のインタビューですが、「木造校舎だと床が傷つきませんか」と聞かれて、「傷つくからこそ教育なんですよ、傷つかないものに囲まれていたら物が傷つくことがわからない。ここまでやっても大丈夫、これ以上すれば傷つくことを知るためには木でないといけません!」と回答されていて感動しました。

赤堀氏: 京都で木のいいところを大工さんと語りあう機会がありました。町屋の二階で無塗装のテーブルでボールペンで記帳することになったのですが、参加されていた方は用紙の下に雑誌や新聞を敷いていました。直接ペンを走らせると跡が机に残ることを知っておられるのです。
木は人がやさしくなれる素材だと思います。五感で感じ取りながら、対象に対して思いやる。社会に安寧をもたらす素材ですよ。思いやりのある社会を作り出している。

安田氏:木を使う社会は、クレーマーを社会からなくすのかもしれない。

井上氏:木育をする人は少ないんですよ。先日幼稚園の教諭が竹を縦割りするとタケノコみたい!とびっくりしていたのですが、そういった方が幼児教育をしていることを念頭に、会場のみなさん木育を進めてください。

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■ 自給率向上と森林所有者収益向上
赤堀氏:自給率は18%から33%まで回復していますが結果論だと思います。自給率だけを追求した数値目標は、薄利多売を助長して、結局赤字を拡大することになるのです。
林業労働者の賃金などの待遇が向上しているわけではありません。ずばり、木材の利用拡大の目的は、より良い山づくりです。数字に一喜一憂してはいけません。

井上氏:どうすれば、森林所有者の収益向上が実現できるのか?林業機械は高額で相当稼働率を上げないと採算が取れない。本来すべきでない作業をしてしまっている。何をすればいいか?

赤堀氏:これをすればというものはない。多くは情報が分断されていて、川上の林業の状況、川下のニーズが届いていない。情報を共有することだ。

井上氏: 森林所有者は山に関心を失くしてきていて大きな問題だと感じている。自分の山の境界もわからないという。

赤堀氏: どうすれば関心を持っていただくか。お金になるのでは。めちゃくちゃ儲かるというわけではないがなんとか稼げる林業がいいのでは。山間部にそういう地域を作って関心を寄せてもらう。今後法律で、市町村が(育林放棄している)森について手入れを任せてください、と言えるようになります。自分でやろうかと悩んでいても、その申し出に乗ってしまう。その話をするタイミングで森林所有者とのやり取りをしながら、気持ちを引き出してほしいのですが。

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■会場参加者と意見交換
Aさん: 素材生産業をしています。集約化・機械化は悪いわけではなく、うまくやればよいと考えます。マツ枯れの処理をする仕事をしたことがあるがチェーンソーで倒して大きすぎると人の手で搬出してビニルシートをかけて薬を入れる、その処理はつらいですよ。いかにチップにしないように考えて、歩留まりがよい土木用材にしました。マツ枯れにならないうちに伐採するように3年がかりで説得してやりました。なんでも伐採は請け負っています。機械化したので3m30cmなど10cm刻みで対応可能にしています。

Bさん: 木材を使わないといけない理由が見当たらない。木材の建材としての効用を森林総研でも研究されているが、数値で表れているわけではない。

井上氏: 埼玉大学の浅田先生が、木の床の上と木の床以外の床で過ごしたときを比較して数値化している。

安田氏: 木材は建材の一つ。木造を強制するものではない。しかし、こどもは直感で暖かいところや柔らかいところに触れたがるし、触れて学んで育っている。

Cさん: 大学で林学の専攻が減っている。建築では木造を学ばないと聞いている。

安田氏: 建築の授業に木造はなかった。

赤堀氏: 林学は観察の学問だと聞いている。魅力的ですが・・・

安田氏: ナリワイが魅力的であれば、志す人も増えるのではないか。

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■ まとめ

安田氏: キーワードに沿って振り返っていただきましたが、今後のお二人の10年についてお話をお伺いしたい!

井上氏: これからの10年の目標は、どうやって(家業の林業を)息子に引き継いでいくか、ということと、製材工場に後継者がいないので、素材→製材→建築というネットワークを構築してから引退したいと考えている。

赤堀氏: これまで外に出ていたので、地元に貢献して「長野のカラ松はいいね」といわれるようになりたい。取材を続けていき、ベストセラーを出して仕事を遺したい。

安田氏: 間伐材が主流だったこれまでの10年は、木を使えばよかった時代。これからの10年は、間伐よりむしろ主伐に移行してくる。木を使うことで、森林所有者に収益を生み、持続的な森林経営に恩恵を与える木材利用が必要になると予測します。森林を元気づける木材利用の仕事に、ますます責任が問われるのだと思います。しかるべき材を使ってしかるべき貢献しなくてはいけないと。
森林所有者収益に焦点を当てて、次の世代に引き継ぐやり方をするためには、どう関係づけていくかが次の仕事だと考えています。
そのための情報発信や人材の束をつくっていく活動をサウンドウッズでは取り組みたい。
今後とも宜しくお願いいたします。

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