「家を建てるなら木造住宅」といった思いがあっても、木材の産地に関心のある人は少ないのではないでしょうか。まして、伐採後の森林に関心が及ぶことなど、ほとんどないかもしれません。
最近になって、適切な手入れを行っている森林の木であることや合法的に伐採したことを証明する認証制度が、第三者機関や業界団体によって広がりを見せています。自然環境に配慮した持続的な森林経営が求められ、木材産地を明確に示すトレーサビリティーの重要性が問われています。
私たちも、平成15年に「加古川流域森林資源活用検討協議会」を立ち上げ、多可町加美区の立木販売システム構築や、人工林の保全と国産材活用の推進に取り組んできました。消費者が家づくりを通じて森づくりに直接参加するシステムを提案し、地域の木材を利用することで、地域の森を元気にする取り組みです。
地産地消の木の家づくりは、昔から各地に存在しました。しかし、住宅部材のプレカット化や、量産型の木材流通体制では、地域の森とのつながりが見えにくくなってきています。立木販売システムは、木を植え育てる人、木を伐る人、製材する人、大工、設計者などを、顔の見える関係で結ぶことで、身近な木材を使った家づくりを可能にしました。今年はじめに、地産地消の木の家づくりの活動を支援する目的で、「NPO法人サウンドウッズ」を設立し、志しある林業家と共に「木づかい」によって森林を育て、その価値を次世代に引き継ぐ取組みもはじめています。
丸太価格は低迷し約40年前の価格とほとんど変わっていません。近年、国産材の流通を取り巻く状況は、建築の用材などの良質材の取扱量は減少し、パルプや合板の原料としての低価格の木材需要が急激に増加しています。結果、本来価値のある良質な丸太までも低価格で取引されています。この状況では、森林資源の供給量は増加しても資源の価値は低迷し、人工林を次世代に受け継ぐ十分な維持管理経費が確保できなくなります。
私たちの取り組は、森づくりに意欲的な林業家から、良質な丸太をその価値にみあった適正な価格で「フェアトレード」し、付加価値の高い製品にデザインする木材利用によって、次の世代に森を引き継ぐ役割を果たすことを目標としています。
本物の価値あるものづくりを目指す人々が集い、建築や家具などのモノづくりによって「森」からの恵みを「街」に届けることに挑戦します。
樹齢100年の森林から感じる心地よさは、 世代を超えて受け継ぐ、ゆったりとした時間の流れかもしれません。
地域の森林資源を持続的循環型資源として大切に利用するためには、 自然との調和をはかり、 循環する森づくりを意識した木材の使い方を考えること、そして、次世代に受け継ぐ豊かな森林を想像することが大切です。
あなたと身近な森林とのつながりはどのようなものでしょうか。
能口秀一(のぐち しゅういち)
NPO法人サウンドウッズ 副代表理事・木材コーディネーター